住居選択の経済学的考察:住宅ローン
家を買うことを検討するまで住宅ローンについて考えたことなかったけど、今(2019年3月)だと金利0.5%ぐらいでお金借りれるんですね。
すごくないですか?
実際に住宅ローンを検討してて思ったことは
- ローンを組むにあたってかかる費用が銀行によってかなり違う
- いくらの物件を買って、いくら借りて、いくらを頭金にするのかという意思決定がある
このエントリでは、
- 実質金利による比較
- 頭金の割合考察
について書こうと思う。
実質金利
住宅ローンの表面金利は比べやすいんだけど、一方で、手数料のかかり方が銀行ごとに違っていて比較がしにくかった。
例えば、楽天銀行では手数料が一律32.4万円、住信SBIネット銀行だと手数料が借入額の2.16%、三菱UFJ銀行だと保証料が借入額の2.06%でそれプラス手数料が3.24万円かかる。
手数料と保証料
まず、この両者の違いは、手数料は払ったら戻ってこない、保証料は繰り上げ返済したら戻ってくるお金だという点。
ただ、保証料が戻ってくるといっても、あんまり戻ってこない。
保証料の細かい計算はよく知らないけど、銀行で聞いた感じだと、35年ローンを組んだとして
- 5年で返済したら半分ぐらい
- 10年で返済したら1/3ぐらい
- 15年で返済したら20%
- 20年で返済したら10%
もどってくるようだ。もし利率が同じで、手数料と保証料が同額なら、繰上げ返済する予定の人は保証料名目でお金を取られる商品が得だ。
とはいえ、上で書いたように35年ローンを10年で返しても1/3しか戻ってこないし、あんまり保証料の返還には期待しないほうがいいと思う。
実質金利
表面の金利が明示的でも、手数料名目でお金を取られるか、保証料名目でお金を取られるか、手数料が借入額に対して割合なのか、一定額なのかによって実質的に払う金利は変ってくる。でも、それを簡潔に比べるいい方法があんまりない。
ぐぐって見つけた範囲では、ダイアモンド不動産研究所のこのサイトが一番便利だった。
ただ、借入金額3000万円、借り入れ期間35年を前提に計算しているので、そこが違うと必ずしも正確な比較にならない。
特に、借入額が大きくなると、手数料が一定額の楽天銀行が得になるんだけど、自分の借入額のケースでそれを評価しようと思うと結局自分で計算しないといけなかった。
というわけで、自分でエクセルで計算したときに作ったものを置いておく。(本当はMatlabでやったけど)
実質金利を計算することで、異なる条件の住宅ローンを同じ条件で比べることができるようになる。
A | B | C | D | E | F | G | H | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 借入年数 | 表面利率 | 借入金額 | 保証料(割合) | 手数料(割合) | 手数料定額 | 実質利率 | 0にする値 | |
2 | 35 | 0.005 | 6000 | 0.0206 | 0 | 3.24 | 0.006267 | 0.001394 |
実際の自分の借入予定に合わせてA2からF2を入力して、
H2に
= (C2 - C2*D2-C2*E2 -F2 - ( (1+B2 )^(1/12)-1)/( (1+( (1+B2)^(1/12)-1) )^(12*A2)-1)*C2*(1+( (1+B2)^(1/12)-1) )^(12*A2)/( (1+G2)^(1/12)-1)/(1+( (1+G2)^(1/12)-1) )^(12*A2)*( (1+( (1+G2)^(1/12)-1) )^(12*A2)-1) )^2
を入力して、G2に関してソルバーとかを使ってH2の値を0にするようなG2の値を求めると、G2に実質金利が出てくる。
上の表では、例として三菱UFJ銀行(保証料が借入額の2.06%、手数料が3.24万円)で表面利率0.5%のとき6000万円借りたときの実質利率を導出している。
保証料と手数料を合わせると0.6267%ということになる。
式の意味は説明を省くけど、コピペすれば動く。*1
ソルバーの使い方は、ぐぐって見つけてください。僕はここを見て勉強しました。
目的セルを$H$2、指定値を0、変数セルを$G$2にして解くだけ。ソルバーが分からなかったら、G2の値を少しずつ動かしてH2の値を0に近づけてください。
頭金の割合
よく「利子支払いを少なくするために頭金を増やしたほうがよい」っていう言説を見かけるけど、あまり同意しない。
例えば、検討している物件をキャッシュで買えるぐらい貯蓄があったとしても、与信枠ギリギリまで借り入れるべきだと思う。
なぜなら、
*1: 具体的には、以下のように計算している。まず、借入年数と表面利率から毎月の返済額を計算する。次に、実際の借入額から手数料を引いたものを「実質借入額」とする。最後に、毎月の返済額の割引現在価値が実質借入額に一致するような利率を実質利率として計算している。